夜の九王(よるのきゅうおう)は、メソアメリカの暦に見られる9日周期であり、9日それぞれを異なる神が支配する。
ナワトル語ではヨアルテウクティン(Yoalteuctin)と呼ばれた。この語は「夜」を意味する yoalli と、「主」を意味する tēuctli の複数形である tēuctin から構成され、夜の主を意味する。
マヤ
マヤ碑文では補足シリーズ(補助シリーズ)と呼ばれる部分に9日周期の神が記されている。名前が不明であるため、G1からG9までの識別番号で呼ばれる。メアリ・ミラーとカール・タウベによると、いくつかの神は図像的に同定されている。たとえばG7はおそらくハアブのパクス(パシュ)月の守護神と同じ神であり、G9はパウアトゥン(パワフトゥン)であるという。
長期暦のトゥンは9の倍数なので、必ずG9で終わる。
『チラム・バラムの書』では「ボロン・ティ・ク」(Bolon ti ku、九神)と呼ばれている。
アステカ
アステカで260日周期の暦(トナルポワリ)を記した書物(トナラマトル)には以下の9神が見える。文献によって多少の違いがある。
- シウテクトリ
- イツトリまたはテクパトル
- ピルツィンテクトリ
- シンテオトル
- ミクトランテクトリ
- チャルチウトリクエ
- トラソルテオトル
- テペヨロトル
- トラロック
夜の九王はおそらく9層からなる地下世界と関係がある。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 八杉 (1990):八杉佳穂『マヤ興亡 : 文明の盛衰は何を語るか?』福武書店〈Fukutake Books〉、1990年。ISBN 4828833218。 NCID BN05153875。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002058632。
- Miller & Taube (1993):Miller, Mary; Taube, Karl (1993). The Gods and Symbols of Ancient Mexico and the Maya: An Illustrated Dictionary of Mesoamerican Religion. Thames & Hudson. ISBN 0500050686
- ミラー&タウベ,武井訳 (2000):ミラー, メアリ、タウベ, カール 編『図説 マヤ・アステカ神話宗教事典』増田義郎監修、武井摩利訳、東洋書林、2000年9月(原著1993年)。ISBN 978-4-88721-421-7。 (上記の日本語訳)




