NIGHT FISHING』(ナイト・フィッシング)は、日本のロック・バンド、サカナクションのスタジオ・アルバム。バンドにとって2枚目のアルバム。ビクターエンターテイメント内のレーベル、BabeStar Labelから2008年1月23日にリリースされた。アルバムに収録された楽曲の全ては、前作『GO TO THE FUTURE』に引き続き、バンドのメンバーらの地元である北海道圏内で制作されており、バンドがメジャーデビュー以来、バンドのフロントマンである山口一郎によって作曲された楽曲を特色としている。

アルバムは、2007年12月5日に配信された楽曲「サンプル」をリード曲としており、主なプロモーションに使用され、北海道のラジオ局で多く放送された。アルバムは商業的な成功を収めており、オリコンアルバムチャートで53位を記録している。また、アルバムは音楽評論家から肯定的評価を受けている。音楽雑誌『MUSICA』の寺田宏幸はアルバムの楽曲に対し、1970年代に流行した叙情性と雄弁さのある歌謡曲に例え、歌詞には一貫した詩的な世界観があるとコメントしている。

2009年には、アルバムがグローバルにデジタル・ダウンロード販売を開始。iTunesなどの音楽配信サイトによって各国に向けて発売された。2015年には、リマスタリング加工を施した復刻版をLP盤とCDでリリースしている。

制作と背景

サカナクションは、2005年春に北海道札幌市で結成された。小樽市で行われたロック・フェスティバル、『ライジング・サン・ロックフェスティバル』の一般公募枠にあたる、『RISING STAR』にCD未発売ながら出演したことにより話題になった。バンドは大学ラジオに「三日月サンセット」と「白波トップウォーター」のデモ音源を送付。送付された楽曲は番組でリスナーから好評を得た。バンドはロック・フェスティバルの出演をきっかけとし、前作のアルバム『GO TO THE FUTURE』でビクターエンターテイメント内のレーベル、BabeStar Labelからメジャーデビューをする。5月11日から13日かけては、同アルバムの発売を記念としたワンマンライブツアーを札幌、東京、名古屋、大阪のライブハウスで行った。ライブでは、「ティーンエイジ」や「アムスフィッシュ」など、「NIGHT FISHING」に収録された多くの楽曲を披露している。

「NIGHT FISHING」は、バンドが北海道を拠点として制作したアルバムの最終作であり、この作品以降は東京に拠点を移し替え制作している。アルバムの制作期間中、バンドはビクターエンターテイメントの関係者などによって圧力がかけられていた。アルバムは、前作『GO TO THE FUTURE』がファーストアルバムであったこともあり、過去の作品を中心に厳選し、制作した全8曲、つまり名刺代わりのアルバムとして発表したが、「NIGHT FISHING」は新しいサカナクションを掲示しつつも、前回まで評価されてきた部分を失わずに、よりポピュラーに制作するようにされた。また、バンドをより商業的にするために、最小限のエレクトロミュージックと「高いエンターテイメント」ポピュラー音楽の間の釣合いを保とうとした。さらに、バンドはプログレッシブ・ロックの音楽性とリスナーの曲に対する楽しみを一切取り除くことを望んでいなかったことから、環境音楽とフォーク・ミュージックの要素を取り入れ、さらに彼らの音を拡大させた。

アルバムは、バンドのメンバー5人それぞれの個性を音楽として取り入れたいということから制作された。しかし、その一方でアルバムの制作において、スタッフやメンバーとの対立の回数が最も多い作品となった。アルバムのリード曲に関してバンドのフロントマン、山口一郎は元々「ナイトフィッシングイズグッド」にすることを推していたものの、スタッフと対立。最終的には、現在までのリード曲である「サンプル」がスタッフの案として採用されている。「ナイトフィッシングイズグッド」は曲の長さが6分あり、ミュージック・ビデオを作成しても音楽専門チャンネルなどで放映されないということから、「サンプル」が採用された経緯がある。その一方で、山口はYouTubeなどの動画共有サイト上でのプロモーションの可能性に気づき、稚拙ながらも「ナイトフィッシングイズグッド」のミュージック・ビデオを自主作成している。また、「ナイトフィッシングイズグッド」以外にも、アルバムに収録された楽曲のうち、「ワード」と「サンプル」のミュージック・ビデオが制作されている。

プロモーションとリリース

アルバムは、2007年11月12日に最初に発表された。初の配信シングル「ワード/サンプル」は、2007年12月5日に両A面シングルとしてiTunesなどの音楽配信サイトで配信され、「ナイトフィッシングイズグッド」は同年の12月26日に配信シングルとして同サイトなどで配信がされた。「サンプル」はリード曲としてメディアに使用された。楽曲は、一部のラジオ局でヘヴィー・ローテーションされ、FM NORTH WAVEのチャートランキング、『SAPPORO HOT100』で最高5位を記録している。2015年3月に、アルバムのLP盤、つまりアナログ盤と廉価盤およびハイレゾ音源のデジタル・オーディオが発売された。CD・LP盤には、リマスタリングが施されリリースされた。元々同月に『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』をリリースする予定であったが、メンバーの草刈が妊娠をし、産前休業に入ったためにアルバムの復刻版をリリースすることとなった。

2008年1月中旬にバンドは音楽・エンターテインメントを中心としたソーシャル・ネットワーキング・サービス、Myspaceの公式アカウントを開設。その2週間後、1月23日から31日までの期間限定で「NIGHT FISHING」の試聴サイトが開設された。バンドはアルバムの発売前後に『ぴあ』、『MUSICA』、『Barfout!』、『Bass Magazine』、『ROCKIN'ON JAPAN』などの雑誌で特集がされた。

バンドは、アルバムのプロモートのために2008年3月に長崎から大阪にかけて全国ツアーを行った。

評価

評論家による評価

「NIGHT FISHING」は、複数の音楽評論家からの肯定的評価を得ている。音楽雑誌『MUSICA』の寺田宏幸はアルバムでのバンドの試みを「大きな進歩」であるとして評価。寺田は、アルバムの楽曲に対し、1970年代に流行した叙情性と雄弁さのある歌謡曲に例え、歌詞には一貫した詩的な世界観があるとコメントし、寺田はアルバムを「傑作」であるとしている。ファッション雑誌『装苑』の評論家は、アルバムの山口のボーカルとバンドの型にはまらないサウンドを称賛し、山口の書く独特の叙情詩調の世界観を評価した。

チャート成績

オリコンの調査によると、「NIGHT FISHING」は2008年1月23日にフィジカルとしてリリースされた後、発売初週に推定3,500枚売り上げ、オリコンアルバムチャート2008年1月第5週付のチャートランキングで53位を記録。チャートデビューした。この記録は前作、『GO TO THE FUTURE』が初週に記録したチャートランキングの倍以上の値である。アルバムは2008年2月第4週付のチャートランキングまで300位以内にチャートインした。

収録曲

チャート

売り上げ

発売日一覧

ライブ映像作品

脚注

関連項目

  • スペースシャワーTV歴代POWER PUSH一覧

外部リンク

バンドの公式サイト

  • サカナクション公式サイト
  • サカナクション ビクターエンタテインメント公式ページ

CDの公式サイト

  • サカナクション NIGHT FISHING Special website

歌詞掲載サイト

  • サカナクション - 歌ネット
    • ワード - 歌ネット
    • サンプル - 歌ネット
    • ナイトフィッシングイズグッド - 歌ネット
    • 雨は気まぐれ - 歌ネット
    • うねり - 歌ネット
    • 哀愁トレイン - 歌ネット
    • 新しい世界 - 歌ネット
    • ティーンエイジ - 歌ネット
    • アムスフィッシュ - 歌ネット

インタビュー記事

  • サカナクション 山口一郎『NIGHT FISHING』全曲解説!インタビュー(HMV&BOOKS online)

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